音小屋・音楽ジャーナリストコース(小野島講座)

音小屋・音楽ジャーナリストコース(講師・小野島大)の受講生の作品を掲載していきます

「私の人生を変えた1枚」のレビューを書く

音楽ライターの小野島大です。雑誌『MUSICA』の鹿野淳氏が主宰する音楽メディア人養成講座「音小屋」の「音楽ジャーナリストコース」の講師を2013年8〜9月(2013年夏期)、11月〜2014年3月(第6期)、2014年8月〜9月(2014年夏期)、2015年8月〜9月(2015年夏期)…

BUMP OF CHICKEN 『jupiter』

BUMP OF CHICKEN 『jupiter』 BUMP OF CHICKEN、彼らの音楽は、高校生時代の私を語るに必須である。あの時に出会わなければ、今の私はここにいない。音楽に触れることが、ライブを楽しむことがこんなにも幸せであることを教えてくれた。そして、私自身の可能…

Perfume『GAME』(2008)

Perfume『GAME』 「アイドルとは魅力が実力を凌駕している存在」そう評したのはRHYMESTER・宇多丸だ。実力よりも魅力のほうが上回り、その隙間をファンが応援で埋めていく存在がアイドルであるという話を聞いた時、顎が胸にめり込むほどに首肯した。私がアイ…

フジファブリック『FAB FOX』(2005)

フジファブリック『FAB FOX』(2005) 小さい頃から音楽が好きで、よく聴いていた。"名曲"と言われる音楽たちの歌詞に励まされ、生きる糧としていた。だけどいつも退屈なのだ。もっと音楽に衝動を感じたい。サウンドだけで踊り出したくなるような、泣きたくな…

Perfume『GAME』(2008)

Perfume『GAME』(2008) アイドルでもないし、バンドでもない。「Perfume」という新たなジャンルを日本、そして今や世界にまで浸透させている三人。私の人生に音楽という楽しみを与えてくれ、夢を追い続けるひたむきな姿勢をいつまでも私に見せてくれるPerfum…

FUNKIST『SUNRISE 7』(2009)

FUNKIST『SUNRISE 7』(2009) 「休憩時間じゃねぇぞー!」という声が聞こえた瞬間、私は脇目もふらずにモッシュピットへ駆け出した。これが私とFUNKISTの出会いである。 地元長崎のフェスで初めて出会った彼らの音楽は、当時ラウド・ミュージックに傾倒してい…

19『音楽(ことば)』(1999)

19『音楽(ことば)』(1999) 『音楽で話そう 言葉なんて追い越してさぁ…この地球(ほし)の音楽(コトバ)で…』と朗読から始まるアルバム。この当時私が30歳だったら、きっと速やかにヘッドホンを外していただろう。 19(ジューク)は、広島県出身の(岡平…

フジファブリック『SINGLES 2004-2009』(2010)

フジファブリック『SINGLES 2004-2009』 2年前くらいまで、そうなりたいという気持ちから、特別な人ぶった事をしていたと思う。自分は才能があって、クリエイティブで、的を射た事を言えるんだ、と一生懸命アピールしていた。そういう人がかっこいいと思っ…

任意のアーティストのファースト・アルバムのレビューを書く

音楽ライターの小野島大です。雑誌『MUSICA』の鹿野淳氏が主宰する音楽メディア人養成講座「音小屋」の「音楽ジャーナリストコース」の講師を2013年8〜9月(2013年夏期)、11月〜2014年3月(第6期)、8月〜9月(2014年夏期)の3回にわたってつとめました。 …

The SALOVERS 『C’mon Dresden.』(2010)

The SALOVERS 『C’mon Dresden.』 私にとってのヒーローはサラバーズだ。彼らの音楽に出会ったのは、十代の音が詰まった「閃光ライオット2009」のコンピレーションアルバムだった。この年の「閃光ライオット」を観に行ったわけでもなければ気になるバンドが…

YUKI『PRISMIC』(2002)

YUKI『PRISMIC』 ジュディマリこと、JUDY AND MARYがデビューしたのは1993年。YUKIが21歳の時。ミスチルやスピッツ、GLAYらが台頭した90年代のバンドブームに埋もれることなく、惜しまれながら2001年に解散した。そして翌2002年には、シングル『the end of s…

東京カランコロン『We are 東京カランコロン』(2013)

東京カランコロン『We are 東京カランコロン』 私が初めて見た2011年の時点でもう既に、インディーポップバンドとして規格外に素晴らしい楽曲を彼らは鳴らしていた。その時に新曲として発表されたM-2”少女ジャンプ”という曲を聞いて、不覚にも瞬間的に恋に落…

サカナクション『GO TO THE FUTURE』2007)

サカナクション『GO TO THE FUTURE』 変わらないまま変わっていきたい。そう、楽曲ほとんどの作詞作曲を手がける、Vo&G.山口一郎はつぶやいた。何やらなぞなぞを出題されたみたい。これは難題。だが、改めて1stアルバム「GO TO THE FUTURE」を聴いた時、答…

andymori『andymori』(2009)

andymori『andymori』 日本のインディーロック界において注目を集め ていたandymoriがリリースした1stフルアルバム。彼らの奏でるシンプルなコード進行は60年代の初期ガレージロックを思い出させ、それに加えて優しく甘くも感じるメロディは和製リバティーン…

クリープハイプ『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』(2012)

クリープハイプ『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』 特別な歌。「私の歌」。デビュー以来発表された曲の中でも、このアルバムの収録曲は群を抜いてパーソナルな歌詞である。クリープハイプのメジャーファーストアルバム“死ぬまで一生愛されてると思って…

MANDO DIAO『Bring ‘em In』(2002)

MANDO DIAO/『Bring ‘em In』 新品、新商品よりも、古着とかヴィンテージ家具のように傷があるものの方が、特別で魅力的に感じる。音楽に関しても同じ。もとは希少な60年代もののデニムやら革ジャン。汚れたり、糸がほつれたりする。それに愛着が湧く感覚。…

root13.「窓際/少女/水槽/2月」(2011)

root13.「窓際/少女/水槽/2月」 人との別れは、突如やってくる。そして、それは、気が付いたときには、もう手の届かないところに行ってしまう。どこかで、終わりが来ることが分かっていても、今を大切にできないときがある。 大阪を中心に活動している、男…

真空ホロウ 『contradiction of the green forest』(2009)

真空ホロウ『contradiction of the green forest』 「1stアルバムが一番良い」。こんなセリフはたとえファンの率直な本心だったとしても、アーティストたちからしたら何の褒め言葉でもない。「あなたたちのキャリアに更新性は無かった」と、告げるようなもの…

Vampire Weekend『Vampire Weekend』(2008)

Vampire Weekend『Vampire Weekend』 アーティストは音楽のみならず、ファッションや、言動により何がしかのイメージを抱かれる。それらのイメージを排除して、純粋に音楽だけを評価することに一体何の意味があるだろう。言わずもがな彼らが音楽を規定する価…

miwa『gutarissimo』(2011)

miwa『gutarissimo』 少女が大人になる瞬間を見たことがあるだろうか。あどけない笑顔や弱々しい涙がどこか力強くなり、凛として前を向く一瞬である。少女はいつまで少女でいられるだろう。大人になりたくなかった高校生の頃の私は、そんなことばかり考えて…

Godspeed You! Black Emperor『F♯ A♯ ∞』(1997)

Godspeed You! Black Emperor『F♯ A♯ ∞』 決して聞き易いアルバムではない。一曲も非常に長い。ただその楽曲には、世界や常識に抗っていく確かな魅力がある。 彼らの1stアルバム『F♯ A♯ ∞』は、私たちの「感情」そのものを表しているようだ。街頭の雑踏のフ…

「生涯ベスト・アルバムのライナーノートを書く」

音楽ライターの小野島大です。雑誌『MUSICA』の鹿野淳氏が主宰する音楽メディア人養成講座「音小屋」の「音楽ジャーナリストコース」の講師を2013年8〜9月(夏期講座)、11月〜2014年3月(第6期)の2回にわたってつとめました。 このブログは、その受講生た…

NUMBER GIRL『OMOIDE IN MY HEAD 1 〜BEST & B-SIDES〜』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 NUMBER GIRL『OMOIDE IN MY HEAD 1 〜BEST & B-SIDES〜』 文・梶原綾乃 人間だけではなく、ロックバンドとの出会いも一期一会だ。デビュー直前に知ること…

Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD』 文・糸日谷友 夜中にYou Tubeで「AIR JAM」の映像を見てた。「AIR JAM」は1997、1998、2000年と行われた、Hi-STANDARDが…

アンジェラ・アキ『TAPESTRY OF SONGS-THE BEST OF ANGELA AKI-』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 アンジェラ・アキ『TAPESTRY OF SONGS-THE BEST OF ANGELA AKI-』 文・千代祥平 ベストアルバムにも様々あるが、自分はこんなに「幸福な」ベストアルバム…

BIGMAMA『Love and Leave』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 BIGMAMA『Love and Leave』 文・峯岸理恵 「生涯のベスト1アルバムのライナーノーツを書く」と言われた時、まだ24年しか生きていないのに生涯のベスト…

RADWIMPS『×と◯と罪と』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 RADWIMPS『×と◯と罪と』 文・小島沙耶 自分の大好きなバンドの新譜を聴く時、あなたはどんな気持ちで聴くだろうか。楽しみ、期待、それとも緊張?いろんな…

tofubeats『lost decade』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 tofubeats『lost decade』 文・林佑 正直な話ねぇ、自分の生涯のベスト1アルバムねぇ、わかんないな(笑)。気分で変わることもあるし、10年後とか経って…

きのこ帝国『渦になる』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 きのこ帝国『渦になる』 文・黒田隆太朗 出会いたかったバンドにようやく出会えた。そう思った。ただひたすらに惹かれた。 昨今のフェス全盛に伴った踊れ…

Mogwai『Hardcore Will Never Die, But You Will』

音小屋第6期音楽ジャーナリストコース 最終課題「生涯のベスト・アルバムのライナー・ノートを書く」 Mogwai『Hardcore Will Never Die, But You Will』 文・黒田隆太朗 1997年イギリス。この年デーモン・アルバーンは、USオルタナティブに接近した『ブラー…