音小屋・音楽ジャーナリストコース(小野島講座)

音小屋・音楽ジャーナリストコース(講師・小野島大)の受講生の作品を掲載していきます

Perfume『GAME』(2008)

Perfume『GAME』(2008)

 アイドルでもないし、バンドでもない。「Perfume
という新たなジャンルを日本、そして今や世界に
まで浸透させている三人。私の人生に音楽という
楽しみを与えてくれ、夢を追い続けるひたむきな
姿勢をいつまでも私に見せてくれるPerfumeは、
まさしく私の人生を大きく変えてくれた。

 私が彼女たちを初めて知ったのは、中学生の時
に聴いた2nd album『GAME』である。全作詞作
曲、プロデュースに中田ヤスタカを迎えてから二
作目となるこのアルバムには、代表曲”ポリリズ
ム”、今やライブの定番ともいえる”チョコレイ
ト・ディスコ”などが収録されている。

 1曲目”ポリリズム”を聴いたときの感覚は不思
議なほどよく覚えている。三人のブレス音がかす
かに聞こえ、異なるリズムが重なりながら紡がれ
ていくのと同時に、三人のシンクロしたダンスが
印象的。この曲がきっかけで徐々に人気を博して
いったPerfumeにとって、”ポリリズム”は人生を
変えた大事な曲だとライブのMCなどでもたびた
び話している。ポップな曲とはガラッと変わる3
曲目”GAME”は、ハードなシンセとベース音が耳
インパクトを残す1曲である。強めな印象とは
また大きく変わり、6曲目”マカロ二”は、ピアノ
のメロディがレトロな雰囲気を出すとともに付き
合い始めの恋人を想う女の子の可愛らしい気持ち
が歌われている。柔らかいサウンドの不安定な感
じが、三人のエフェクトの少ないリアルな声と絶
妙に合い、アルバム全体のブレイクタイムのよう
になっている。ほとんどの歌詞が<take me
tonight>で構成されている8曲目”Takeme
Takeme”は、キュートでありながらセクシーで浮
遊感のある曲。シンプルなサウンドに単純な言葉
が重なり、これもまた違う魅力が感じられる楽曲
となっている。

 全13曲、自由なサウンドと三人の様々な表現に
魅せられるこのアルバムはPerfumeのこれからの
飛躍を暗示しているかのようにも思えた。私は当
時このアルバムを聴きPerfumeに出会ってから、
中田ヤスタカのサウンドと三人の唯一無二の存在
感に魅了された。しかしPerfumeの魅力は楽曲だ
けではない。かつては売れない時期が長く、苦労
を積み重ねてきた三人。だからこそ運命を変えた
代表曲への思い入れや、高みを目指していく謙虚
な姿勢がライブパフォーマンスや三人の言葉一つ
一つから感じ取ることができる。中学の頃から何
をやっても中途半端で、自分にはこれといった特
技やアイデンティティがないことに劣等感を感じ
ていた私にとって、音楽の世界という道をひたす
らに進み続ける三人はとても眩しかった。 

 Perfumeに出会ってからさらに音楽の幅は広が
り、いつしか音楽が私にとって自分を象徴するも
のになったのである。今年メジャーデビュー10
周年を迎えるPerfume。彼女たちは私にとって、
永遠の憧れだ。(真田あすか)